アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻 アフリカ地域研究資料センター
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おもな研究プロジェクト

西アフリカ・サヘル地域 ニジェール共和国における都市の生ゴミを利用した砂漠化防止対策の実践と紛争予防の取り組み
代表者 大山修一 准教授
概要 サハラ砂漠の南縁に位置するニジェール共和国では、砂漠化(土地荒廃)の問題が深刻である。砂漠化の進行にともなって、農業生産の低迷や国民の生活レベルの低下、貧困の蔓延、国家財政の破綻が懸念され、多くの地域で人びとの生命や生活が脅かされている。本プロジェクトでは、ニジェール中南部に居住するハウサの農耕民がもつ砂漠化に対する環境認識と荒廃地の緑化に関する生態的知識を明らかにすることによって、砂漠化問題の原因に関する試論を提示し、砂漠化問題の解決と「人間の安全保障」に貢献することをめざしている。
これまでの調査から、ハウサの人びとは屋敷地から畑へゴミを運搬し、荒廃地の土壌肥沃度と植物生産力の改善を図っていることが明らかとなった。しかし、市場経済化にともなって農村における経済活動が活発になり、人びとが積極的に農・畜産物を定期市へ販売することによって、農村社会の内部で循環する有機物が減少している現状が浮かびあがってきた。一方、首都ニアメでは人口が急増し、住民は大量の農・畜産物を消費し、都市内部にゴミを廃棄しつづける結果、不衛生な状態を作りだし、雨季にはコレラやチフスなどの感染症が蔓延している。農村地域では有機物量が減少し、土地生産力が低下するという砂漠化が顕在化する一方で、都市域ではゴミとして有機物が蓄積し、不衛生な状態を招くというアンバランスな状況が生まれている。
本プロジェクトでは、ニジェールに NGO 「OLDCS- shara(砂漠化防止と都市衛生改善プロジェクト)」を創設し、分別した都市の生ゴミを農村域の荒廃地に散布するという計画を推進している。この計画によって、砂漠化問題の解決を図るとともに、農村における自給食料の確保(「食料の欠乏からの自由」)と「農耕民―牧畜民」間の紛争予防(「紛争による恐怖からの自由」)、都市における衛生問題の解決(「感染症に対する恐怖からの自由」)をめざし、サヘル地域における「人間の安全保障」に貢献したいと考えている。
 この取り組みについて興味のある方は、「西アフリカ・サヘルの砂漠化に挑む:ごみ活用による緑化と飢餓克服、紛争予防」昭和堂 をぜひ、お読みください。
都市ゴミを使った緑化実験:食料不足と紛争の解決をめざして
概要 都市でゴミを収集 → 荒廃地への投入 → 草地の再生

都市ゴミを使った緑化実験
詳細 詳細にご関心のある方は、大山修一 2007.ニジェール共和国における都市の生ゴミを利用した砂漠化防止対策と人間の安全保障:現地調査にもとづく地域貢献への模索.『アフリカ研究』71: 85-99.をお読みください。
アスマナ・アブドゥさんのプロジェクト・レポート(2017年9月)(英語)