2021年10月よりJICA草の根プロジェクト「ニジェール共和国 ニアメ首都圏における有機性ゴミによる緑化活動」を開始し、ニアメ市内の2地点に緑化サイトを建設しました。北部のK村には既存の1地点2ヘクタールとともに、新規に1地点(1ヘクタール)を追加しました。南側のL村には新規の1地点(9ヘクタール)を建設しました。既存サイトについては、フェンスやドアの補修をおこないました。両サイトの建設、および補修では、のべ980人日の現地の村びとに手伝ってもらいました。
K村の住民は農耕民ザルマ、L村の住民は牧畜民フルベの村です。都市の有機性ゴミの投入を通じて土壌を改善することによって、K村の住民は主作のトウジンビエやササゲだけでなく、マンゴーをはじめとする果樹の栽培に挑戦したいと話しています。また、L村の村びとは有機性ゴミにより牧草地をつくり、家畜を放牧し、より良い飼料を与えたいと話します。
また科研費プロジェクト(基盤研究(A)「西アフリカ・サヘル地域の環境修復による地域住民の生業支援と平和貢献モデルの構築」」)により、建設したサイトには気象観測装置を設置し、気温・湿度、降雨量のほか、土壌中の水分や地温、電気伝導度(EC)などの計測を開始いたしました。ニアメ市の住宅地で捨てられた有機性ゴミを投入することによって、土壌の変化や植物の生育がどのように進むのか、観測しつづけ、定期的に写真を撮影するインターバルカメラも設置しています。
実践的な研究・観測活動と社会貢献を組み合わせ、国内研究者および、国立気象局やニアメ大学、ティラベリ大学、環境・砂漠化対策省のニジェール人研究者との共同研究、若手研究者の育成、大学院生・学部生の指導を進めながら、ニアメ市内で廃棄されるゴミの適正処理と衛生状況の改善、および地元住民の生活改善を進めていく計画にしています。